進行表・段取りをオンラインでチェック

2025年12月
  • ペットも家族として参列する葬儀の現状

    知識

    近年、ペットを家族の一員として捉える考え方が定着し、葬儀の場においても「故人が可愛がっていた愛犬にも最期のお別れをさせたい」という要望が増加傾向にあります。かつては動物を神聖な儀式の場に入れることは宗教的なタブーとされ、衛生面や管理の問題からも敬遠されることが一般的でしたが、時代の変化とともに葬儀業界の対応も柔軟になりつつあります。ペット同伴可能な葬儀プランを打ち出す葬儀社や、ペット専用の待合スペースを設ける斎場も登場しており、条件付きながらも一緒にお見送りできる環境が整い始めています。しかし、すべての葬儀でペット同伴が許されるわけではなく、むしろ全面解禁している施設はまだ少数派であるのが現状です。多くの場合、盲導犬や介助犬を除き、ペットはケージに入れた状態であればロビーまでは入館可能、あるいは焼香の時だけ抱っこして祭壇前に行けるなど、施設ごとに細かなルールが設けられています。また、寺院や教会などの宗教施設で行う場合は、その宗教者の考え方によって判断が分かれるため、事前の確認と承諾が不可欠となります。ペット同伴葬儀を実現するためには、まず遺族間で意識を統一し、親族や参列者への配慮を欠かさないことが前提となります。動物が苦手な人やアレルギーを持つ人が参列する可能性も十分に考慮し、トラブルを未然に防ぐための対策を講じなければなりません。それでも、故人と長い時間を共に過ごし、心の支えとなっていたペットが葬儀に参列することは、故人にとってもペットにとっても、そして遺族にとっても深い癒しとなる場面が多く見られます。棺の中の故人に鼻を近づけて別れを惜しむ姿や、祭壇を見つめて静かに座る姿は、言葉を超えた絆を感じさせ、式の雰囲気を温かいものに変える力を持っています。ペット同伴葬儀は、形式にとらわれない自分らしい葬儀を求める現代人のニーズを象徴するスタイルの一つとして、今後さらに広がりを見せていくことでしょう。