自分の家族の葬儀に際して、会社から「供花をお贈りします」という、ありがたい申し出。しかし、様々な事情から、「できれば、そのお心遣いを辞退したい」と考える社員の方もいるでしょう。例えば、葬儀を近親者のみの家族葬で静かに行いたいため、会社関係の供花が祭壇にあると、少し仰々しく感じてしまう。あるいは、供花をいただくと、後のお返しのことなどを考えなければならず、かえって負担に感じてしまう。そんな時、会社からの申し出を、角を立てずに、スマートに辞退するには、どうすれば良いのでしょうか。まず、最も大切なのは「感謝の気持ち」を最初に伝えることです。会社が供花を贈ろうとしてくれるのは、紛れもなく、社員であるあなたへの温かい思いやりと、福利厚生の一環です。その気持ちを無下にするような断り方をしては、人間関係に溝ができてしまいかねません。電話で連絡を受けた際には、「この度は、お心遣いいただき、誠にありがとうございます。大変恐縮です」と、まずは感謝の言葉を述べましょう。その上で、辞退したい理由を、正直に、しかし丁寧に伝えます。「大変ありがたいお申し出なのですが、故人の生前の遺志でございまして、葬儀はごく内輪だけで、本当に静かに行いたいと考えております。つきましては、誠に勝手ながら、皆様からのお花のお心遣いは、ご辞退させていただきたく存じます」といったように、「故人の遺志」や「家族の意向」を理由にすると、相手も納得しやすくなります。あるいは、「皆様にご心配やご負担をおかけしたくないので、お気持ちだけ、ありがたく頂戴いたします」と、相手を気遣う形でお断りするのも良いでしょう。大切なのは、申し出そのものを拒絶するのではなく、「お気持ちは大変嬉しいのですが」というクッション言葉を使い、あくまで低姿勢でお願いする、というスタンスです。もし、すでに供花の手配が進んでしまっているようであれば、無理にキャンセルを求めるのではなく、ありがたくお受けするのが円滑な対応です。会社との関係は、葬儀が終わった後も続いていきます。感謝の気持ちを忘れず、誠実な言葉で対話をすれば、あなたの想いはきっと理解され、より良い関係を築くことに繋がるはずです。